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再掲&追記:梨木香歩作品に吼える

2006年12月発売の「この庭に 黒いミンクの話」を読んで
2007~2008年頃にキレながら書いたもんと思われます。
はずかしいですが再掲。

********

一年ほど前、好きで好きでもう心酔してるといってもいい小説家梨木香歩先生の世界観に対し、突然反抗期がはじまりました。
今まで両親に従順だった子供が、ある日突然釘バットもって暴れ出した的な。
なんてこった、「西の魔女が死んだ」の映画もそのうち公開されるというのに!

思い入れが強すぎてうまく言語化するのにすんげー苦労しそうなんですがこれはなんとかかんとか吐き出さないとゼッタイ体に悪いので苦労してでもうまく排出しなきゃって思います。
そんな性質上人に楽しくお見せできる文章じゃなくなりそうなので全追記で行きます。

ネタバレもあるし、ある種反抗期の子供の親に向けた暴言に近い部分があるので、興味ない方や以前の私のような梨木作品超好きィ!な方はどうかスルーしてください。
頼むよ一つ。


↓以下続きを読む



拍手[1回]




行きます。
ブチキレの切っ掛けになったのは「この庭に 黒いミンクの話」のラスト部分、与希子の台詞。
それまでは私、もやもやとした疑問を感じつつ相変わらずの心地よさに酔いしれていたんですが、ここでヘレンケラーにおける WATER! が来ました。

マーガレットがミケルのミンクを捨てた(疑惑)。
自分も子供のころタオルを自分の友達にしてたのでそれを奪われたミケルが傷ついたのは凄く理解できるんですが、しかしマーガレットはマーガレットの色々があってそれはそれ、悲しいしため息ついちゃうけど飲み込めたんです。

しかし…与希子ぉおおおおおおお!!!!!!!
「からくりからくさ」で一番感情移入したおまいさんに私は裏切られた気分じゃ!なんだよ「この家のテイストから外れていた」「(内心は)無くなってせいせいした」ってさ!
子供用のミンクの襟巻きですよ!?ちっさいこがそれを友達にして大事にしてるんですよ!?カワイイじゃないかそんなの。それでテイストから外れてたとかいうなら幼稚園や小学校行ってほかの子と交流して、プリキュアとかポケモンとかどうなっちゃうんだよ。さらに成長してミケル腐女子になったらどうするんだよ!(それはない)
幼児にKYを求めてどうするよ。子供の未熟なカオスを受け入れる度量もこの家の女たちはもってないのか。登場人物のほとんどが浮世離れした穏やかすぎる人たちの中で唯一微妙にはじけてた与希子さんにこそトリックスター的期待を抱いていたのに、結局あなたも梨木世界の、結界の中の住人だったんですかい?

だいたい「からくり」では(というか梨木作品全体でも)若い娘がどいつもこいつもおっとりして若やいでなくてクラブとかコミケとかまかりまちがっても行きそうになくて偏差値高そうでおばあちゃんみたいで、それがもう逆に凄いロハス(笑)で心地よくってよう!
金は命より重いとか武士道はシグルイとか大好きな自分が、なーに草花煮込んで。機織って。な生活にあこがれてんだよって感じだけど(私がこういう本読むのは意外だと何人かに言われたけど)しょうがないじゃん気持ち良いから大好きさワーイ新刊黒ミンクもっともっと~…Wa━━━━━━(゚∀゚)━━━━━ter━━━━━━!!!!
なんか…衝撃で世界が変わっちまったよ…世界観丸ごと作者のオナニープレイに思えてきてしまったよチクショウめ!

やっぱ「選りによって与希子」これに尽きる。紀久さんはなおさらだし、蓉子…ひょっとしたら…いや、こうなったらアノ家の女たちはみな五十歩百歩だろう。なんせ梨木世界だ。私は「からくり」でほんとに羨ましくなったあの家が物凄く窮屈でクソ食らえと思いました。女ばっか四人、しかもオール母性。どう考えてもあの家には男親というか父性も必要だろ!くそーグレちゃえよミケル。結界の中心でウンコと叫べ!

それで色々考えてみたんですよ。今までずっと読み続けてすごく居心地が良かったにもかかわらず、ところどころに感じてきた「違和感」の正体を徹底的に。
そんで気付いたんです。この人がこの人の世界で「男性性」を排除した世界を綴るのは個性として全然ありです。私は宮本輝を勝手に「マダム萌えの輝」って呼んでいて、この人の描く女性はみんな経済的に豊かで知性も教養もあって、でもどこか物憂げというか、まあそういうセレブーばっか書く作家さんもそこはそれ、面白ければなんでもありで、逆にその偏りがすきなんですが、しかし梨木先生の書かれる作品のテーマはずっと一貫して「受け容れる」とか「共感する」とか。…にもかかわらず全然受け容れてねーじゃん!!!ってとこだったんです。

受け容れる、共感する、いいよね、ひたひたと考える、うん、大好きだよ、でも…あなたは泥臭いもの排除した、思いっきり選別した材料で物語構築してるやん!そもそも登場人物、女かちんこついてなさそーな枯れ男しか書いてないじゃないですか。

あ、あれだ原作ナウシカに卵の状態で出てくる「憎しみをしらない浄化された人間」だ。
ナウシカいわく「私達のように凶暴ではなく、おだやかでかしこい人間となるはずの卵です」
ヴ王は受けていわく「そんなものは人間とはいえん」
ヴ王ー!ヴ王抱いてェーーーー!!!!

だいたいいつの間にか交尾してたマーガレットの産んだ子が「おとなしい物静かな内向的な女の子」だった時点で私は作者がこの結界を壊す気ないんだなーって思ったです。甥姪を見てると子供はカオスの塊で、大人は振りまわっされっぱなし、綺麗な日本語で言語化なんてできっこない所が良いのに、結局作者さんはそのカオスを描く気がはなっからないのだな。いや書けないんだろうか。書く努力さえ放棄したんだろうか。子育てとか子供にかかわった経験がもしかしてないのかなあ。私もあまり人のことは言えないけれども。

あとエッセイで「男の子か!」そして「りかさん」での「肩書き」。おもっくそ距離置きまくりですね。本腰入れて男性を書く気ねーなってのがビンッビン伝わりました。そういうカオスを丁寧に排除したお行儀のいい世界、それがあの家を取り巻くミケルの庭なのですね。
そんな浄化された人間選抜でしかお話作れないんだったら「受け容れる」とか「共感する」とか言わないでくれよ。でなかったら「自分は全然できてないけど努力する」みたいなワンクッションが欲しいです。偏った作家さんは大好き。でもこの有様でワイドな見方してる自分!中道を行ってるよ自分!みたいなスメルが気になって集中できない。

あれだ、私は悲しかったんです。悲しくて憤ってたんです。
反抗期のきっかけは、親が受け入れるいいながら根元の所では受け入れてくんないという矛盾でした。どんな人間も持ってるそれぞれ女性的な部分、男性的な部分。んで私はこの人の作品で自分の中のある部分が凄く快感を感じる。そして共感する。こうやってひたひたと考える姿勢をみんなが持てば戦争なくなんねーかなって思う。村田エフェンディや丹生都比売、エンジェルエンジェルエンジェル…どれもやっぱり大好きだし。
だけど…一方で私を構成するある部分は注意深く「削除!」されちゃってる。最初から世界に存在しないがごとくつまはじきにされちゃってます。「見なかったことにしよう」です。そりゃねーよ。「受け容れる」宣言したならうひょひょでげへへな私も受け容れてくれよ。そんなイギリスとかロハスとか綺麗なものばっか収集しないで汚泥に塗れた感情も拾っておくれよ。汚いって払いのけないでくれよ。できないなら宣言しないでくれよ、悲しくなるじゃん…

釘バットフルスイングはこれにておしまいです。
かなりガラス割りまくった感じですが反抗期が過ぎたら、時折むかしの確執とかを割り切って、立ち寄る実家みたいな感じで本を読めると思うんです。
穏やかに愛を語った感想を乗っけたりもすると思うんです。後足で砂ひっかけるみたいなこんな文を書いたこと、大いに後悔すればいいと思います。


********

…多分何ヵ月後に
「梨木香歩作品に吼える 第二章 
~ウン年越し二度目の
WATER!!映画版八日目の蝉を添えて~」がUPされると思うます。
まさかの二度目が…あったんだな、これが…。
(2016/1/23)



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